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それは誰のためなのか?という話

確か前回、「取次をなくす」とかいう物騒なことまでは書いた気がします。正確には「本という物質的なモノを運ぶ取次」ですが。

 

結論から言うと、未来の取次は「データ」を運ぶ存在になる(正確にはならないと潰れる)ということです。究極的に簡単に言えば、「書店店頭あるいは自宅で製本できるようになる」ということです。「製本」というのは誤解があるかもしれませんが。とりあえず今日はこのような抽象的なイメージでとめておきます。まずはその結論に至るまでの過程や思想的背景を説明します。ダメな論文の例ですね。あるいはテレビですかね。一番大事なところを引き延ばして期待させるあの感じですね。

 

僕の根本には、「どうすれば読者のためになるか」という思想的な土台があります。そしてこれをひとつ上流に持ってくると、「どうすれば書店のためになるか」という問いに変わり、それの行き着く先が「出版業界のため」になります。

 

つまり、まずは「読者の幸せ」とは何かが重要になります。整理します。例えば、

 

欲しい本がすぐに買える(読める)

いつでも買える(読める)

どこでも買える(読める)

 

あるいは、

 

欲しい本が見つかる(「欲しい」と思える本が見つかる、見つけてもらえる)

 

といったことでしょうか。もちろん他にもあるでしょう。安く買いたい。著者に会いたい。etc

とにかく根本には、読者の幸せを叶えるには「選択肢を増やす」ことが必要になるのではないか、ということです。つまり、その都度その都度変わる読者の要望に応えられるシステムや環境を作る、ということです。

 

次に書店の幸せを考えてみましょう。大前提としては、「儲かる」ということになりますが、それを実現するにはどのような書店にしたいか、というのを書店の幸せと定義します。つまり上の「読者の幸せ」を書店目線で言い換えるだけです。

 

豊富な在庫量(=欲しい本を見つけてもらえる確率が高い)

注文品がすぐに届く

 

などなど、もっとあると思いますがとりあえずこれくらいで。

そしてもうひとつ重要なことは、書店員が楽しく本を売れる(選べる、並べられる)環境を作るということです。書店員が楽しんでいる本屋は確実に「ステキなお店」です。有名どころだと、例えばさわやフェザン店なんて最たるものですよね。どう考えても楽しんでるじゃないですか(もちろんその裏には努力や苦労があるのだけど)。他にもあゆみ小石川とか。残念ながら閉店しちゃいましたけど、例えばかつてそこで活躍していた久禮さんや有地さんが閉店間際の1ヶ月に色々と仕掛けていたのを見ていると、「楽しんでいる書店員のいる本屋は強い」ということを再認識させられました。

で、楽しい書店員ライフを送るために必要なのは何よりも自由度の高さだと思うんですよね。そしてそう考えたときに最初に思い浮かぶ敵が取次なんですよね。笑

返品率が!これは買切りで!出荷保留です!とか。

パターン配本で大量に入荷する本を荷ほどきして棚に並べるだけで精一杯、とか。

頼むから満数出荷してくれ...とか。

 

つまり敵はストレスなんですよ、読者にとっても書店員にとっても(「欲しい本が(置け)ない、すぐにこない」など)。

そしてそれを生み出しているのは取次なのでは、ということです。

もちろん業界三者にそれぞれ原因はありますが、僕は取次の人間なので自分に厳しく考えます。「取次が、取次のための利益だけを考えているからこうなるんだ」ということです。

 

僕は、取次はできるだけ無色透明というか、みんなのためを考える存在だと思っています(取次の公共性と表現している方がいましたが、その感覚にとても近いです)。もちろんそこには読者が含まれていて、彼らが最優先になりますが、次に書店と版元のためを考えるのが大事だと思っています。つまり、読者が幸せなら書店も版元も幸せになれる、つまり取次も幸せになれる、という連鎖をイメージしています。取次の利益は、読者が本を買ってくれることでしか得られません。なのでそこを最も意識する必要があるのではないでしょうか。

しかし実際には、取次は「自社が楽になる方法」を考えています。例えば返品率抑制のためのインペナ契約など。もちろん返品率は低い方がいいのは確かですが、インペナを取り入れたことで果たして「読者」は幸せになれるのでしょうか。

全然関係ないんですよね。そんなのは業界の事情でしかないんですよ。返品率が10%、いや0%になろうと、送品抑えてスカスカになった棚や、売れ筋しか置いてない書店、「(インペナ契約に含まれている)特定の版元の本しか置いていない」書店になってしまっているのであれば、読者は「つまらん店だ」と思うだけですよね、裏の事情を知っていても知らなくても。あるいは「ごめん!コスト抑えたいからダンボールいっぱいになるまで出荷待ってくれる?」と読者に言ったところで彼らは「それがなに?」って話なんですよね。

 

そしてその業界内問題の板挟みというか被害者になっているのが現場の書店員なんですよね。そして読者自身です。読者の場合は、「本屋がつまらない、欲しい本がない、すぐにこない」などといった体験をすることで被害を受けているわけですが。

 

今日はここまでにします。

次回(できれば明日)は、ここまでのことを踏まえてじゃあどうするか、ということと。

あと世界の風潮というか、時代の流れ、これから世界が向かう先というものがどんなものか、を記していこうと思います。個人的に感じていたことと、様々な本から学んだことのハイブリットです。

そしてそれを踏まえて「なぜデータなのか」につなげていければと思います。

 

それでは。